抗議声明 アメリカによるイラン核施設への攻撃に強く抗議する

アメリカによるイラン核施設への攻撃に強く抗議する
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長野反核医療者の会は、下記の緊急の抗議声明を発表しました。

アメリカによるイラン核施設への攻撃に強く抗議する

2025年6月22日
核兵器を廃絶する⻑野医療者の会 事務局

米国のトランプ政権は、日本時間の6月22日午前11時、米軍がイランの3つの主要な核施設を標的とした大規模攻撃を行ったことを表明しました。さらなる攻撃を行うことも示唆しています。

1、イスラエルに加担するこの攻撃は、アメリカによる先制攻撃であり、国連憲章に違反していることは明白です。また、軍事目標主義の基本原則、文民に対する攻撃の禁止、原子力施設等危険な力を内蔵する工作物等の保護などを定めるジュネーヴ諸条約及び追加議定書にも違反するものです。

2、イランは核不拡散条約(NPT)に加盟し、国際原子力機関(IAEA)との間で包括的保障措置協定を締結し、査察活動を受け入れています。IAEAのグロッシ事務局長は「IAEAは隙のない査察活動を通じ、イランで核開発が行われないよう保証できる」と述べています。いかなる理由があれ、アメリカが一方的な武力攻撃によってイランの核施設を破壊することは、IAEAによる保障措置体制という国際的な枠組みを武力によって根底から覆すものであり、NPT加盟国、核保有国、国連安全保障理事国であるアメリカがとるべき行動として到底容認されるものではありません。

3、報道によると、今回の攻撃では米軍が保有する最新鋭のB2ステルス戦略爆撃機から大型の地下貫通爆弾「バンカーバスター」GBU-57を投下、実戦初使用されたとされています。このような圧倒的な破壊力を持つ兵器を用いた一方的な攻撃は、これまで築いてきた対話による外交秩序を根底から破壊し、報復攻撃、軍事対軍事の危険なエスカレーションを招きます。また、この攻撃自体が他国に対する武力による威嚇に他なりません。

4、核施設に対する武力攻撃、破壊行為は、それ自体が周辺環境への放射能汚染を引き起こし、作業員や周辺住民の生命と健康を脅かし、広範囲、長期間にわたる深刻な環境汚染の原因となるものであり、いかなる理由があれ容認できるものではありません。

5、平和を願い「ふたたび被爆者をつくらない」と訴え続けてきた広島・長崎の被爆者の願い、国内外の市民社会の努力を踏みにじる非常に身勝手な行動であり断じて容認できるものではありません。

広島で被爆し、戦後、信州・松本の地で食堂「ピカドン」を営み、生涯にわたって核廃絶を訴え続けた前座良明さんの「平和は祈るだけでは達成しない、たたかいとるものだ」との言葉を、戦後80年、被爆80年のいま、私たちは胸に深く刻んでいます。

核兵器を廃絶する⻑野医療者の会として、アメリカによるイラン核施設への攻撃に強く抗議するとともに、自制を求め、武力ではなく外交努力による解決を強く望むものです。

以上