声明 信州大学の「安全保障技術研究推進制度」への応募解禁に抗議する

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長野反核医療者の会は、下記の声明を発表しました。

信州大学の「安全保障技術研究推進制度」への応募解禁に抗議する

2025年12月19日
核兵器を廃絶する長野医療者の会(長野反核医療者の会)

2025年12月13日、信州大学が、軍事技術に応用可能な基礎研究を支援する防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」への応募を解禁することが報道されました。この制度は、軍事技術に応用可能な技術を積極的に支援することを目的に2015年度に創設されましたが、信州大学は2017年に、研究成果が平和用途以外に転用される懸念が否めないとして、応募を認めない方針としていました。今回の方針転換は、研究者や学生が戦争のための研究に協力させられることにつながるものです。命と人権を守る医療者として、この方針転換に抗議します。

信州大学執行部は、軍民両面で利用可能な科学技術を支援する目的で、「軍事利用に限定される研究は行わない」と説明しています。しかし、過去の史実を振り返っても、国民の命を守る目的と銘打って、科学者は戦争に協力してきました。科学者が気付かないうちに地球を滅亡させうる核兵器の開発に加担させられ、戦後に自身の研究を深く反省したことは、ラッセル・アインシュタイン宣言(1955年)からも明らかです。

私たち長野反核医療者の会は、県内の医療従事者で集まり、核兵器廃絶と平和な社会の実現を目指して活動しています。活動の根底には、戦時中に医療者が戦争に加担させられ、命と人権を守るという職務を全うできなかった歴史を二度と繰り返したくないという思いがあります。当会には、信州大学の卒業生も多く参加しています。私たちは、信州大学の理念である「信州大学で学び、研究する我々は、その成果を人々の幸福に役立て、人々を傷つけるためには使いません」という言葉に共感しています。私たち医療者が戦争のもとで人命を奪いたくないと思うのと同じように、多くの研究者も軍事的な破壊や殺傷に加担したくないと考えているはずです。

大学の方針転換の背景には、国立大学の運営費交付金が大幅に削減されていることが影響していると考えられます。国立大学が安定して運営され、地域に還元される研究を継続できるよう、運営費交付金の増額を国に求めます。

信州大学の卒業生として、長野県に暮らす県民として、命と人権を守る医療者として、軍事研究に加担するような大学の方針決定の撤回を強く求めます。

以上